集客の基本は設備
2014年2月14日 20時55分更新

若い二人が眩しい。
睦ましく寄り添い、一つの新聞を覗き込んでいる。
楽しそうにマーク・シートを塗る男女をちょっとだけ気にしながら、俺は新聞とテレビ画面のオッズを交互に見る。
小倉と京都を続けて外した俺は一息入れようと、ビルの隣にあるスターバックスまで歩いた。二人にカプチーノでも差し入れたい気分にもなるが、残念ながら俺にそんな「社交性」は微塵も備わっていない。
銀座ウインズで馬券を買って半日を過ごすのは楽しい。
前の晩、飲み過ぎたってウォシュレットがずらり並んでいるから安心・快適である。
昭和の雰囲気が色濃く残る競輪場――。誰かが書いていたけれど、今時これを手洗いとは呼べないだろう、そんな設備の旧さに唖然とする競輪場が少なくない。
怪獣ショーもいいでしょう。B級グルメも楽しかろう。
でも本気で集客を願うなら、イベントより設備だ。ウォシュレットもない競輪場に若いカップルは居つくまい。俺はそう思う。
竹林記者プロフィール
山松ゆうきち、阿佐田哲也、色川武大、ストーンズ、「青春の蹉跌」「アフリカの光」「嗚呼!おんなたち猥歌」内田裕也、テレキャスター、ボブ・ディラン、生田敬太郎、シオン、広島競輪場、鮎川誠